今回は、資産1,000万円がテーマの記事になります。
はじめに
先日、こういうお悩み相談を頂きました。
どうすればいいでしょうか…。
ご相談いただきありがとうございます。
この様な資産形成に関するお悩みやご質問は度々頂きます。
資産形成の目標を高く設定し過ぎて挫折する人は多い
実際、私の周りを見ても「〇〇万円貯金するぞ!」「目指せ運用資産〇〇万円!」と意気込んで始めたものの、途中で力尽きて資産形成に断念する人は多いです。
私個人の意見ですが、そういう人に共通する考え方としては、以下が挙げられると思いました。
- このペースで資産形成しても、先が長すぎる
- こんな少額で貯金や投資をしても、たかが知れているんじゃないか
- それなら、他の事にお金を使って今を楽しんだ方がマシ
この様に、目標や理想像までの距離が遠過ぎて、気持ちが続かずにそれまでの自分の積み上げを否定してしまうパターンですね。
でも、そういう人を見る度に「もう少し頑張ったら違う景色が見えてくるのに、その前にやめてしまってもったいないなぁ…」と感じています。
そこで今回は、資産形成初期フェーズのちょうど良い目標として、まずは「資産1,000万円」を目指してみてはどうかというお話をします。
この動画を見て頂ければ、資産1,000万円を貯める事によるメリットが理解できます。
もう資産形成に挫折したくないという方は、ぜひ最後までご覧頂けたら嬉しいです。
資産1,000万円ある人の割合
最初に、資産1,000万円以上ある人の割合についてお話しします。
金融広報中央委員会が発表した、2020年の「家計の金融行動に関する世論調査」の[単身世帯調査]と[二人以上世帯調査]のデータから、20代~60代の一人暮らし、二人以上世帯それぞれのケース別に見てみます。
一人暮らし
一人暮らしの人のうち、20代~60代までで、貯蓄が1000万円以上あると答えた人の割合は以下のようになっています。
●20代……1.7%
●30代……9.2%
●40代……17.4%
●50代……18.1%
●60代……32.3%
一人暮らしの20代で、貯蓄1000万円以上という人は1.7%なので、相当なレアキャラですね。
ところが、これが30代になると9.2%に増えます。
「10人に1人の割合」と考えると、意外と多いですよね。
40代、50代になると割合はさらに増えて、5人に1人くらいの割合になり、60代になると、およそ3人に1人の割合になります。
当然ちゃ当然ですが、年を重ねるごとに資産は増えていっているのが分かりますね。
二人以上世帯
次に、二人以上の世帯についてです。
20代~60代まで、貯蓄が1000万円以上あると答えた人の割合は以下のようになっています。※()内の数字は一人暮らしの数字です。
●20代……4.2%(1.7%)
●30代……20.2%(9.2%)
●40代……33.0%(17.4%)
●50代……42.7%(18.1%)
●60代……46.8%(32.3%)
二人以上の世帯でも、一人暮らしと同様に、やはり年代とともに割合が上がっています。
二人以上の世帯の方が、1000万円以上の貯蓄がある人の割合が一人暮らしの人よりも2倍近く多いのが分かります。
共働きで収入は増えたけど、同居する事で生活費はそこまで増えなかったなど、二人以上の世帯特有のメリットも影響しているかもしれませんね。
資産1,000万円持っている人は少数
ここまでをまとめると、想像通りかもしれませんが、資産1,000万円を保有している人はかなり少ない事が分かります。
資産形成を頑張ろうとして、SNSで何億円、何千万円もの資産を築いている人たちを見ると気が滅入ってしまうかもしれません。
ただ、日本全体で見たらこんなもんなので、あまり上を見て気にし過ぎない方がいいですね。
資産1,000万円のメリット
続いて、資産1,000万円を貯める事のメリットについてです。
ここでは大きく3つのメリットをご紹介します。
お金を貯める習慣が身に付く
まずメリットの1つ目は、お金を貯める習慣が身につく事です。
収入がめちゃくちゃ高い一部のエリートを除いて、年収400万円〜500万円くらいの一般的な収入の会社員にとって、資産1,000万円を貯めるのは数年掛かりの計画になります。
独身で年間100万円を貯金している人なら10年、共働きで年間200万円を貯めている人なら5年程度かかる計算です。
かなり長いですよね。
ただ、ちゃんと労働と倹約に努めて良い生活習慣を身に付けられれば、かかる期間は短縮できます。
例えば、独身の人なら年間貯蓄額を200万円に増やしたら5年で貯まりますし、共働きで年間貯蓄額を400万円に増やしたら2年半で貯まります。
支出の見直しで価値観が変わったら「勝ち確」
「それができたら苦労しねぇよ!」という声もありそうなんですが、住居費・車両代・保険料・通信費・使わないサブスク代などの大きな固定費を見直すだけでも、年間100万円くらいの削減には繋がる事があります。
実際にいくら削減できるかは家庭によって異なりますが、重要なのは資産形成の過程で家計をスリム化する事です。
資産形成に切っても切り離せないのが支出の見直しです。
そして支出の見直しのためには、まず家計簿をつけるなど現在の家計を把握して、無駄な支出の洗い出しが必要です。
家計簿を付けた事がない人や、家計簿が面倒で続かなかったという人は、マネーフォワードMEやZaimなどの家計簿アプリを使えば、簡単に集計ができるのでオススメです。
金融機関連携などの初期設定だけが少し面倒ですが、それができれば自動で家計簿ができる様になります。
これだけでも結構ヘビーな作業なのですが、こうして洗い出した無駄な支出を削減する事で、家計がどんどんスリム化していきます。
そうすると必要なものだけが残っていき「あれ?支出は下がったけど、生活の満足度は特に下がっていないな」という感覚が湧いてきます。
そうしたらもう勝ち確定です。おめでとうございます。
一度その感覚を味わうと、不思議なもので何か新しく買い物やサービスの契約をする際に、以前よりもシビアに判断する様になります。
そうすると、収入が上がっても支出は増えないという理想の状態になり、どんどんお金が貯まる様になります。
このお金を貯める習慣を身に付けられれば、1,000万円貯まった後も、特に頑張らずに2,000万円、3,000万円と貯めていけます。
金額が増えてもやる事は特に変わらないので、その基礎であるお金を貯める習慣を身に付けるという意味でも、資産1,000万円は良い目標だと思います。
新しいチャレンジへの勇気が湧く
次にメリットの2つ目は、新しいチャレンジへの勇気が湧くことです。
この理由は2つあります。
①数年間無収入でも生活ができる安心感
1つ目の理由は、貯金1,000万円があると数年間無収入でも生活ができると感じる様になり、心が軽くなるからです。
こう感じる金額は人によって異なりますが、SNSなどを見ても1,000万円くらいでそう感じる人が多い印象です。
自分がそうだったんですが、1,000万円など一定の資産が貯まると、今までは考えなかった可能性に目を向けるようになりました。
例えば、「転職」「独立」「学び直し」といったものですね。
もし今の仕事で嫌な事があって休みたくなった時や、新しい事を始めてみたい時にも、ある程度の金融資産があると「まぁ、少し休んでも生活はできるしな」と思って、一歩目を踏み出しやすくなります。
資産1,000万円があれば、生活レベルを上げていない人なら数年間は生活できますし、ちょうどこれくらいの資産が貯まると心に良い変化が起きる気がします。
②自信が付く
続いて2つ目の理由が、自信が付くからです。
なぜお金を貯めただけで自信が付くのかというと、金額が理由ではなく、自分で決めた事を継続達成できた事による喜びが得られるからですね。
これは筋トレやダイエットと同じ感覚だと思います。
ある程度長く資産形成をしていると、必ずどこかで色んな誘惑や気持ちの揺らぎがあります。
それを我慢したり、我慢しきれなかったにしても、上手い付き合い方を見出したりしながら続けていき、目標を達成できたその経験は自信になるんですよね。
「ただお金貯めただけでしょ」と思われるかもしれないんですが、人が自信を持つきっかけって様々なので、決して大した事じゃなくても自信が付く事はあると思います。
ここで付いた自信が自分の気持ちの変化に繋がり、新しいチャレンジへの勇気が湧く事に繋がるのだと思っています。
ですので、心の支えや行動を起こす際の自信を作る意味でも、資産1,000万円は良い目標だと思います。
FIREが現実味を帯びてくる
最後メリットの3つ目が、FIREが現実味を帯びてくる事です。
これは貯蓄したお金をインデックス投資に回した際の話ですが、資産1,000万円を超えた辺りから、資産増加の加速を実感できる様になります。
人によっては300万円〜500万円など、もっと早い段階から感じ始める人もいると思いますが、1,000万円からは増加する金額も大きくなるので、特に感じやすいですね。
例えば、運用資産が100万円の時は5%増加したら105万円ですが、運用資産が1,000万円あれば5%増加したら1,050万円になります。
50万円というと、給料何ヶ月とかボーナスとかそれくらいの金額なので大きいですよね。
同じ5%のリターンでも、運用資産の規模によって全然違ってきます。
実例:VOOの場合(S&P500連動インデックスファンド)
実例を見た方がイメージが湧くと思いますので、ここでS&P500指数に連動するETF「VOO」のリターンを見てみます。
VOOの年初来リターンは+24.1%なので、年初に投資していた場合の成績は以下の通りです。
- 100万円の場合:124.1万円(+24.1万円)
- 1,000万円の場合:1,241万円(+241万円)
どちらも同じ+24.1%のリターンを享受していますが、運用益の金額は200万円以上の差があります。
年間リターン+24%は出来過ぎですが、仮に今後も過去の市場平均程度である3%〜7%のリターンが得られた場合、運用資産が多い方が早く資産は膨らんでいきます。
資産形成において、「最初の1,000万円の投資元本を貯めるまでは大変だけど、それ以降は伸びが加速する」というのはよく言われる話だと思いますが、本当にそう思います。
100万円を1,000万円にするのに掛かった時間よりも、1,000万円を2,000万円、3,000万円に増やすのに掛かった時間の方が短かったです。
私たち家族のお話をすると、FIREを目指し始めた2019年頃は資産1,500万円でしたが、そこから2020年末に約3,000万円になり、現在は5,000万円程度の資産になっています。
良い相場に乗れる様に準備しておく
もちろん相場が良かった事もありますが、それ以上に感じたのは「市場に居続ける事の重要性」です。
もう少し具体的に言うと、市場から退場せずに投資を続ける事は前提として、「まとまった金額を常に市場に置き、良い相場が来た時にリターンを享受できる状態にしておく事」の重要性です。
私の様なインデックス投資をメインに行っている人間は、相場は当然浮き沈みがあるけど、長期で考えたら平均3%〜7%で成長していく事を期待し、インデックス投資をしています。
仮にそうせずに、いつまでも現金で保有していた場合、暴落の影響も受けませんが上昇相場の恩恵を受ける事も無くなります。
これでは機会損失も甚だしいですね。
ですので、なるべく早い時期にまとまったお金を投資し、なるべく長期間運用する事が重要です。
そういう意味でも、若くて運用期間を長く取れる時に、資産1,000万円などまとまった金額を投資に回していけると、その後の資産形成が非常に楽になると思います。
資産形成に成功した人に対して「相場が良かっただけ」という批判は付きものですが、それは良い相場がくる時にちゃんと準備していたからなんですよね。
それも含めて、その人の投資家としての実力だと思います。
今後の生活を考え始める
本業でキャリアを積んで収入が増え、それと並行してまとまった資金を運用していたら、労働収入も資産収入も得られる盤石な体勢の出来上がりですね。
そうして資産が拡大してくると、いよいよFIREも現実味を帯びてきて、今後の生活についてリアルにイメージする様になってきます。
- もっと資産を拡大して資産収入を増やしてから完全FIRE
- 働き方を抑えて労働収入は得つつ、資産収入も得てサイドFIRE
- FIREはせずに、資産収入で生活を豊かにしていく
こんな感じで、今後の方針について色々と考える様になってきます。
元々は完全FIREを目指していた人が、週3日〜4日勤務に働き方を抑えるダウンシフト生活を送ろうと考えたり、FIREせずに蓄えたお金を上手く使ってちょっと良い生活を送ろうと考えたり、色んな事を考える様になります。
どれが良い悪いという話ではなく、それまで考え付かなかった事も考えられる様になり可能性が広がるので、すごく良いステップですよね。
個人的に、そういう事を考えだすタイミングが資産1,000万円くらいからだと感じているので、繰り返しになりますが資産1,000万円は良い目標だと思いますね。
以上が資産1,000万円を貯めるメリットについてです。
まとめ
まとめです!
今回は資産1,000万円を貯めるメリットというテーマでお話ししました。
資産形成の目標金額として、1億円や5,000万円といった金額は、キリもいいですしその金額を目標金額としている人も多いと思います。
ただ、実際に資産形成を始めてみると、思った以上に地道で挫折しそうになる事も多いです。
そんな人は今回お伝えした通り、まずは「資産1,000万円」を目標に取り組まれてみてはいかがでしょうか。
高過ぎず低過ぎず、ちょうどいい中間目標ですし、達成する頃にはそれまでの自分とは別人になっていると思います。
年末という事で、来年も目標を考えている人もいらっしゃると思いますが、「こういう目標もありかな」と頭の片隅に入れて頂けたら嬉しいです。
今回は以上になります。
この記事が、何か少しでも皆様のFIRE計画のお役に立ったら嬉しいです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!