今回は「もったいない病」がテーマの動画になります!
動画でご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
はじめに:ラストエリクサー症候群について
突然ですが、皆さんは「ラストエリクサー症候群」て聞いた事ございますでしょうか。
このラストエリクサーって何かというと、FFシリーズに出てくるゲーム内で少ししか手に入らないレアアイテムなんですね。
少ししか手に入らなくて使うのがもったいないという事で、結局使わずにゲームをクリアしてしまうプレイヤーが多い事から、「もったいない病」を表す言葉として「ラストエリクサー症候群」という言葉が使われる様になりました。
ポケモンで言うとマスターボールを結局最後まで使わずにクリアしちゃったという感じですね。
皆さん、こういうレアアイテムちゃんと使えましたかね。
私は結局使わずに終わる人間でした。
こういうアイテムをちゃんと使うべきところで使える人は本当に尊敬しました。
それで、なぜこの「ラストエリクサー症候群」の話をしたかというと、これは正にFIREの民がFIRE後の資産収入を得る時に直面しそうな問題だと思ったからです。
どういう事?と思った方もいらっしゃると思うので、もう少し詳しくお話しします。
FIRE後の収入源については、恐らく多くの方がこの3つのパターンで考えているんじゃないかと思います。
- ETFや投資信託を積み立てて、目標金額まで貯まったらその運用益を取り崩す
- 高配当株や高配当ETFに投資して、その配当金や分配金で収入を得る
- 不動産や事業収入といった資産運用以外の仕組みから収入を得る
この中で、特に①のFIRE後の収入源を「運用資産の取崩し」から得ようと考えている人は、それまで積み上げてきた資産の売却が必要になるので、そういう人はこのラストエリクサー症候群が大きな問題になるんじゃないかと思いました。
という事で、今回はこんな「ラストエリクサー症候群(もったいない病)」についてお話しします。
ラストエリクサー症候群(もったいない病)の具体例
まずラストエリクサー症候群(もったいない病)の具体例についてです。
冒頭の説明だけだと、何で問題になると思うのかイメージが湧かないと思うので、具体例として夫婦共働きでFIREを目指す人のFIRE計画を例に挙げてお話しします。
こちらの事例の基本情報はこんな感じです。
- 家族構成:2人家族(旦那さん、奥様)
- 年齢:どちらも30歳
- 収入:旦那さん、奥様ともに400万円程度(世帯年収800万円)
※手取り換算すると、1人あたり312万円(2人で624万円) - 年間生活費:300万円(月25万円程度)
2人暮らしの世帯であれば、結構現実的な数字だと思います。
この場合、貯蓄に回せるお金はどれくらいあるかというと、手取り624万円で年間生活費300万円なので、差し引きで324万円が貯蓄に回せる計算になります。
貯蓄に回したお金を、更に投資と貯金に割り振ります。
ここでは25万円を投資に回して、残りを貯金に回す事とします。
日系企業の会社員の場合、大体の企業が年功序列型の給与体系だと思うので、ここから昇給もしていきますし、臨時収入が入ることもあると思います。
その分は貯金に回していけば、現預金も貯まっていきそうですね。
それで投資先については働いて稼ぎがあるうちは株式に全ツッパで、投資信託の積立を検討しています。
この投資信託の種類としては、全世界や全米といった鉄板のものに加えて、リターンを高めるために最近話題のNASDAQ100連動の投資信託・ETFも少し加えることにしました。
その後、資産規模が3,000万円以上など大きくなってきて、FIREする時期が近くなってきたら、徐々に現金や債券の比率を高めていって、ポートフォリオ全体のリスクを下げていく戦略を検討しています。
これはよくある王道のパターンだと思いますね。
仮にこのまま毎月25万円を積立投資して、運用利回り5%で運用したらどうなるか見てみたら、20年後の50歳前後で資産が1億円を超える計算になりました。
実際はこんな風に綺麗にはいかないのであくまでイメージなんですが、平均的な収入でも共働きだったら20年で1億円いくかもしれないと思うと、意外と1億円という大金が身近に感じますよね。
50歳で資産が1億円くらい貯まりそうと分かったので、それ以降のFIRE計画について検討する事にしました。
巷で人気の「4%ルール」を元に取り崩しについて考えたところ、取り崩し期間が長くなるほど資産が枯渇する確率が高まるという事を知って、取り崩し率を3.5%に減らすことにしました。
実際、取崩し率3.5%にした場合、リタイア期間が40年〜50年あっても資産が残る確率は99%という事で非常に高いです。
1億円の3.5%を取り崩すと350万円になって、そこから運用益にだけ税金が発生するので、その分の28万円を差し引くと322万円が残る計算になりました。
ちなみに、運用益にかかる税金については、取り崩し期間の先になるほど運用益の割合が増えるので税金は増えるため数字は変わってくるのですが、今回は割愛しています。
こちらの夫婦は年間生活費を300万円で計画しているので、3.5%の取崩しで得られる322万円だけでも生活費を賄える計算になりました。
以上が30歳夫婦のFIRE計画の概要になります。
どうでしょうか?いけそうと思いましたでしょうか?
資産収入が生活費を上回っていますし、数字的には問題なさそうですよね。
加えて日本の場合、最強の不労所得である年金もあるので、それも加味すると老後のお金も大丈夫そうだと思いました。
ただ、ここで冒頭に紹介した「ラストエリクサー症候群」が影響してくるんじゃないかなと思うんですね。
どういう事かというと、実際にFIREした後の事をイメージして欲しいんですが、それまではお金を貯めて資産を作る一方だったのが、ここから初めて売却して取り崩しをしていく事になります。
資産形成期間は会社員としての給料もあって稼ぐ力もあったので、例え資産が想像以上に目減りしたり、予想外の支出で生活費が多くかかったりしても調整ができます。
しかし、FIRE後は稼ぐ力が無くなって資産収入に依存してしまうので、そういった調整ができなくなります。
そう考えた時、実際に計画通りに資産の取り崩しができるかというと、恐らく「もったいない」とか、「足りなくなるかも」といった不安な感情が邪魔をしてできないと思います。
それによって、結局それまで計画していたFIRE計画が台無しになってしまったり、若いうちにお金が使えず、結局老後に使い切れない程のお金が残ってしまうパターンもあると思います。
そうなると、せっかくFIREしてもその後の生活が充実しないので、残念過ぎますよね。
そういう生活は送りたくないので、次にこの「ラストエリクサー症候群」の対策を説明します。
対策
①取崩しが不要な投資を行う
まず一つ目が、資産の取り崩しが不要な投資を行う事です。
例えば、高配当株や高配当ETFへの投資がそれにあたります。
配当金投資は「税金面で非効率」とも言われて賛否両論あるんですが、強制的に利益確定して現金にしてくれるという点では、取り崩しのように売却の事を考えなくて済むので良いかもしれないと思っています。
ちなみに先ほど言った「税金面で非効率」という話がどういう事かというと、高配当株や高配当ETFの配当金や分配金は、受取時に課税されてしまうからですね。
再投資する際も自分で購入する必要があったり、購入できる金額が貯まるまでは再投資ができなかったりするので、効率的に資産を拡大するには向かないと言われています。
それに対して、投資信託(分配金なし)なら分配金をファンド内で自動で再投資してくれるので、再投資の手間が無いので、資金効率がいいという事で人気です。
特に、外国株式や外国ETFに投資している場合の差が顕著ですね。
外国株や外国ETFは配当金や分配金にかかる税金が国内課税と現地課税の2種類あるんですが、投資信託なら分配金を受け取らずに再投資するので、分配金への課税が現地課税の10%のみで済みます。
たまに投資信託で分配金なしで再投資にしている人で、現地課税もかかっていないと思われている方がいらっしゃるんですが、現地課税の10%は取られた上で再投資になるので、そこはご注意ください。
それで、高配当株投資が非効率と言われる1番の理由が、外国の個別株やETFから分配金を受け取ると、現地課税で10%取られた後、国内課税で20%取られて、合計で約28%の税金がかかる事になるためです。
これは二重課税と呼ばれていて、現地課税については確定申告で外国税額控除を申請すれば取り戻すこともできます。
ただ、控除できる金額は所得によって違うので全額取り戻す事が難しいという事と、確定申告するのが面倒という事で、そこが高配当投資家を悩ます原因にもなっています。
アメリカの高配当ETF(VYM、HDV、SPYDなど)はコストも安くて人気だと思うんですが、ここがネックなんですよね。
もし日本国内の連続増配銘柄や優良高配当株などを集めた低コストのETFがあれば、投資妙味はあるかなぁと思っているんですけど、今のところ無いんですよね。
という事で、高配当株投資は資産の効率的な拡大には向かないんですけど、よくも悪くも強制的に利益確定して配当金や分配金を出してくれるので、そういう意味だといちいち売却が必要な投資信託よりもメリットがあるのかなと思います。
以上が一つ目の、取り崩しが不要な投資を行うについてです。
②ETF・投資信託の定期売却を活用する
次に2つ目の、ETF・投資信託の定期売却を活用するについてです。
先ほど投資信託は自分で売却する必要があるとお伝えしたんですが、証券会社によっては投資信託を自動で定期売却するサービスを提供しているところもあるので、これを利用するのもアリかなと思っています。
利用できる定期売却の種類は証券会社によっても違うんですが、例えばよく使われている「楽天証券」や「SBI証券」で言うと、楽天証券は①定額②定率③期間指定の3パターンの定期売却ができて、SBI証券は①定額のみ設定ができます。
種類の多さで言うと楽天証券の方が多いですね。
ちなみに①定額②定率③期間指定とどう違うか気になる方もいらっしゃると思うので、楽天証券を例に出して簡単に説明します。
定額
まず1つ目の定額については、毎月決まったタイミングで決まった金額を受け取るパターンです。
例えば、毎月15日に1万円ずつ受取ると指定した場合は、指定した投資信託の評価額が2万円以下になるまで毎月自動的に売却して、1万円を15日に受け取れます。
これは分かりやすいパターンですね。
定率
次に2つ目の定率については、毎月決まったタイミングで指定した取崩し率分の口数を売却するパターンです。
例えば、毎月15日に1%ずつ受け取ると指定した場合は、毎月売却を行う日の投資信託の保有口数の1%の口数を自動的に売却して15日に受取ります。
売却する口数や基準価格は変わるので、それによって受取額は変動します。
期間指定
最後3つ目の期間指定については、最終受取年月を設定したら、保有口数を指定した期間の売却回数で割った口数を毎月売却するパターンです。
例えば、2020年1月に2050年12月まで毎月15日に受け取ると指定した場合、取り崩し期間は30年になるので、指定した投資信託の口数を360回で割った口数を自動的に売却して15日に受取ります。
これも口数の売却になるので、その時の基準価格によって受取額は変動します。
以上が楽天証券の3つの定期売却のパターンです。
定期売却の仕組みは各証券会社によっても異なるので、ご自身の証券会社で使えるサービスを確認して、もし活用できるようなら使ってみる事をオススメします。
この投資信託の定期売却サービスは、自分で投資信託を売却する事ができない「ラストエリクサー症候群」を発症している人にとって強い味方かもしれないですね。
以上が2つ目のETF・投資信託の定期売却を活用するについてです。
③別の収入源を増やして取崩し金額を下げるor不要にする
最後3つ目が、「別の収入源を増やして取崩し金額を下げるor不要にする」です。
これがなぜ有効かというと、シンプルに資産取崩しへの依存度を下げられるからですね。
個人的に感じている資産取崩しが怖い1番の理由は、「稼ぐ力」が一切なくなってしまい、収入が無い状態で一方的に取崩す事に対する抵抗感だと思います。
なので、資産取崩し以外に入ってくるお金を少しでも作る事ができれば、そこのメンタルブロックはかなり軽減されるんじゃないかと思います。
ちょっと細か過ぎて気持ち悪いんですけど、下に出しているカオスマップのような感じで、現代では副業で稼げるサービスがたくさん出てきているんですよね。
これだけあれば何か自分に合っているサービスはあると思いますし、少しずつでもいいので会社員時代から自分の事業や副業収入を伸ばしておけば、FIRE後の気持ちもすごく楽になると思います。
言い方は難しいんですが、「生活に必要なお金を稼ぐ」という事ではなくて、「自分のメンタルを安定させるためのお金を稼ぐ」みたいな感じですかね。
稼ぐ力が少しでもあるのと全く無いのとではメンタルがだいぶ違ってくると思うので、先ほど上げた通り現代では収入を得る方法はたくさんありますし、自分に合った稼ぎ方を見つけておく事は重要だと思います。
それと、少し稼ぐとは直接的に関係ないかもしれないんですが、FIREを目指している人に特にオススメなのが情報発信ですね。
これはSNSでもブログでもYouTubeでも何でもいいんですが、何か自分が興味あるジャンルや、詳しくなりたいジャンルについて発信する事はめちゃくちゃオススメです。
これはなぜかというと、情報発信をしていると、自然とそのジャンルに興味関心のある方と繋がれて、色んな情報が集まってくるようになるからですね。
例えば、こちらのいつもお世話になっているアラサー夫婦さんがTwitterで仰っていたんですが、沖縄移住について発信されていたらそれに関する情報がたくさん集まってきてとても勉強になっているそうです。
素敵なお話しですよね。
私もこうしてFIREについて発信する事で、FIREに関する情報も自然と集まるようになりましたし、FIREに興味関心のある人たちと繋がれて非常に楽しいので、本当に情報発信して良かったと思っています。
特にFIREに関してはまだ目指している人も少ないですし、リアルで話せる友人がいる人も少ないと思います。
人との繋がりが無いとモチベーションも続かないですしFIRE後も寂しいと思うので、積極的に情報発信して繋がりを作っておく事は非常に重要だと思っています。
ですので、直接的に稼ぐ力とは繋がらないかもしれないんですが、FIREを目指す過程で情報発信も並行して行う事は非常にオススメです。
以上が3つ目の、「別の収入源を増やして取崩し金額を下げるor不要にする」についてです。
まとめ
まとめです!
今回はFIRE後の資産収入の問題という事で、「ラストエリクサー症候群」についてお話ししました。
割と真面目に、この「ラストエリクサー症候群」はFIREを目指す人の計画に影響を与えそうな問題だなぁと思いましたね。
恐らく、FIREを目指して頑張っている人は真面目にコツコツ資産形成に励むことのできる人が多いと思うので、お金を貯める事はできても、取り崩す事や使う事に対して抵抗がある人が多いんじゃないかと思いました。
ですので、余裕を持ってFIREができるくらい資産が貯まるまで待つ人もいると思うんですが、そうすると今度は時間が掛かり過ぎるので、どこかのタイミングで踏ん切りを付けて一歩踏み出す必要があると思うんですよね。
最近だと、「DIE WITH ZERO」という書籍の影響でお金を貯め過ぎる事のリスクもささやかれていて、尚更早くFIREしたい人も増えていると思います。
とは言っても、暴落や調整で資産が減少したり、想定外の出費で支出が増加したり、長い資産形成の道のりの中では想定外のトラブルは絶対にあると思います。
ですので、そこについては多少余裕を持った資産計画を立てつつ、並行して稼ぐ力を伸ばしていって対応していけばいいんじゃないかと思いました。
「ラストエリクサー症候群(もったいない病)」は人類永遠の悩みとも言われていますが、自分の感情にあった対処法を準備して対策していきましょう。
今回は以上になります。
この記事が何か少しでも皆様のFIRE計画のお役に立ったら嬉しいです。
今回もありがとうございました!