今回は「日本版FIREの最適解」がテーマの記事になります。
はじめに
日本版FIREの最適解という記事が面白かった
先日、こちらの”日本版FIRE”の最適解という記事を読みました。
後ほど記事の概要もご紹介するんですが、日本でFIREする際の注意点や、その対策について書かれていました。
こんな風に思っている方の参考になる記事でしたので、よろしければ一度読んでみる事をおすすめします。
そこで今回はこの記事の概要と、この記事を読んで私が思った日本人に最適なFIREスタイルについてお話しします。
最後まで観て頂ければ、「確かにこれなら自分にもできるかも!」と思える様な話だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
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ちなみにこのチャンネルでは、セミリタイア生活中の私ぱすたおが、FIREに関する情報や資産形成に役立つお金の知識を発信しています。
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記事解説
3種類のFIRE
まず記事の概要について説明するんですが、その前に前提として、こちらの記事に書かれている3種類のFIREスタイルについて理解する必要があるので、そちらについて解説します。
FIREの種類は色々あって分かりづらいですよね。所詮言葉遊びでしか無いんですが、あまり色々な名前が増えるといよいよ覚えられなくなりそうです笑。
3つのスタイルの概要はこちらの通りです。
1.フルFIRE:労働を辞めて運用益だけで生活する
2.ライトFIRE:パート&アルバイトなどで厚生年金に加入しつつ自由を確保する
3.プチFIRE:定年より5年早く会社を辞めて、老後前の自由を楽しむ
こちらの3つですね。これを聞いていかがでしょうか。
皆さんの気持ちはわかります。プチFIREに対してツッコミを入れたいと、そう思われてますよね。私も同じ気持ちです。
「プチファイアーってガブモンの必殺技じゃねーか!いい加減にしろ!」と自分も言いたくなりました。
これはおっさんホイホイ系の冗談ですが、定年より5年早く辞めるって、仮に65歳定年なら60歳でFIREという事なので、恐らく多くの人がイメージしているFIREとは少しズレているのかなと思いましたね。
一般的なFIREの考え方
一般的なFIREは資産収入だけで生活費を賄うという考え方で、先ほど説明した3つのFIREで言うと「フルFIRE」にあたるものです。
代表的な手法は、生活費の25年分の資産を用意して、その資産を株や債券などの金融資産へ投資して、その運用益で生活するというものです。
具体的には、「4%ルール」という考え方をベースとしていて、米国のS&P500の指数に連動するインデックスファンドと高格付社債へ投資して資産を運用します。
その場合、期待リターンは6%程度になるため、そこから想定インフレ率の2%を差し引いた残りの4%の範囲内であれば、運用資産を減らす事なく生活ができるという事になります。
この4%ルールは過去のデータがベースになっていますが、現在でも通用する考え方だと言われていて、たびたび有識者によるアップデートもされています。
特にアメリカのFIREコミュニティでは数字に強い方々が盛んにシミュレーションしてくれていますね。
私はクソ文系なので、こういう理系の方々の数字の強さはいつも羨ましく思っています。
4%ルールの概要や注意点については、過去に動画も上げておりますので、そちらもご覧ください。
以上が資産収入だけで生活費を賄おうとする、一般的なFIREの場合の手法になります。
ただ、この手法には問題点もあるので、次に問題点について解説します。
問題点1.老後の公的保険が脆弱になる
こちらの表は、平均標準報酬月額32万円(障害の平均年収384万円)で資産した場合の、リタイア年齢別の年金の年間受給額です。
40歳で辞めた人は年間116万円で、65歳の定年まで働いた人は年間169万円となっていて、年間53万円も年金受給額が下がるという事でした。
FIREした人は厚生年金を納める期間も短くなるので、年金額が少なくなるというのはその通りで、この点は確かに注意が必要ですね。
ただ、この受給額の差をどう捉えるかは人それぞれかなと思いました。
というのも、逆に言うと40歳で辞めた時と65歳で辞めた時の差額が年間53万円しかないとも取れるので、そこの損を受け入れたらその分時間が手に入るからです。
こう思われる方もいるかもしれませんが、41歳の時にコンビを結成して50歳でM-1を優勝する錦鯉の長谷川さんみたいな人もいる時代なので、「40代で辞めても年金はこれくらい貰えるんだ!」というのを安心材料にして、新しいチャレンジに挑むのも楽しい生き方なんじゃないかなと思いますね。
問題点2.資産収入だけでFIREを目指すと莫大な資産が必要
こちらの表は、1年間の生活費を310万円とした時に90歳まで生きた場合の必要金額一覧です。65歳〜90歳の年金受給期間は、年金との差額が必要という前提で試算されています。
こう見ると、やっぱり必要金額は多いですね。
しかもこれに加えて、運用が上手くいかなかった場合や、介護や医療費、自宅のリフォーム費用などの想定外の支出への準備も考慮すると、必要な金額は更に大きくなるのではという事でした。
どこまで備えるかはFIREのタイミングを考える上で非常に重要ですが、備え過ぎてもどんどん後ろ倒しになってしまうし、楽観的過ぎても後が怖いしという事で、この辺は多くのFIREの民を悩ます問題ですね。
日本人に最適なFIREは緩いFIRE(ライトFIRE)
ここまでの話を聞いて、こう思われた方もいると思います。
ただ、この記事では最近多い「FIREなんて幻想だ!」「夢を見るのはやめよう!」という結論ではなく、「じゃぁどうすれば日本の制度や日本人の性格に合ったFIREができるのか」という部分についても書かれていました。
FIREに対しては色々批判もあったり風当たりがキツかったりする中、嬉しいですね。
そのスタイルというのが、最初に挙げた3つのFIREスタイルの中の「ライトFIRE」と言われていた緩いFIREです。
これはフルタイムの会社員としての勤務を辞めた後も、パートやアルバイトで社会保険に加入できるレベルで働き続けるというスタイルになります。
緩いFIRE(ライトFIRE)のメリット
こうする事で、会社を辞めた後も国民健康保険ではなく次の勤務先の健康保険が使えますし、厚生年金にも加入できるため、国民年金がメインの通常のFIREと比べて年金額も増えます。
加えて、一定の給与収入も得られるので、資産収入だけに依存せずに済みます。
これは精神的な安心感にも繋がりそうですね。
このライトFIREは聞き馴染みのない言葉ですが、表現が違うだけでFIRE界隈でよく耳にする「サイドFIRE」「バリスタFIRE」「セミリタイア」と同様のものです。
社会保険加入のハードルは下がっていく流れ
社会保険に加入するというと、結構ガッツリ働かないといけないのかと思われるかもしれませんが、意外とそうでも無いんですね。
「週20時間以上」「賃金月8.8万円以上」など適用ハードルは意外と低いです。
しかも、2022年10月以降には社会保険の適用拡大が開始されて、企業の事業規模や見込み雇用期間が緩和されるという追い風もあります。
例えば、従業員500人以上が従業員100人以上に、雇用期間の見込みが1年以上から2ヶ月以上といった感じですね。2024年にもまた緩和が予定されています。
こんな感じで、社会保険加入条件は緩和していく流れなので、記事内のライトFIREの様な緩いFIREであれば十分にできる可能性はできるんじゃないかという事ですね。
ぱすたおの感想
日本人に最適なFIREスタイルはサイドFIRE
ここまでこの記事の概要についてお話ししました。
皆さんはどう思われましたでしょうか。
私は今回の記事を読んで、改めてやっぱり日本人に最適なFIREスタイルはサイドFIREなんじゃないかなと思いました。
なぜそう思うのかについて解説します。
税金・社会保険料の面でメリットが大きい
まず理由の1つ目は、税金・社会保険料の面でメリットが大きいからです。
退職後の国民健康保険の負担は重い
通常であれば、FIRE後に無職や個人事業主になったら、会社の健康保険から国民健康保険に切り替わります。
辞めてから2年間であれば会社の健康保険を任意継続するという選択肢もありますが、いずれにせよそれまで会社と折半だった社会保険料を全て自分で収める必要があるので、社会保険料は高額になります。
特に会社を辞めた翌年は会社員時代の所得を元に国民健康保険料が計算されるため、年収800万円の会社員であれば50万円以上掛かります。
2年目以降は減免制度などが使えるので安くする事もできますが、それでも国民健康保険料の負担は重たいですね。
雇われるのに抵抗がない人はパート・アルバイトも検討にすべき
それに対して、パートやアルバイトで社会保険に加入して働いたら全て自分で支払う必要はなくなりますし、厚生年金にも加入できるので将来受け取れる年金も増えます。
これによって年間数十万円の支出が抑えられる上に、一定の給与収入もあって生活も楽になるので、選ぶメリットは大きいですよね。
独身の人でもメリットは大きいですが、パートナーや子どもなど家族が多い人の場合、家族を扶養に入れる事で家族分の健康保険と年金保険料を支払わずに済むので、家族が多い人ほどメリットがあります。
ですので、家族持ちでFIREを検討している方は、社会保険に加入できる程度に働くというのも検討するといいと思います。
人的資本と社会資本が衰えない
続いて理由の2つ目は、人的資本と社会資本が衰えないからです。
楽しく生きるために大事な3つの資本
この人的資本、社会資本という言葉は、作家の橘玲さんが書かれた「幸福の資本論」という本の中で出てくる言葉ですね。
本書の中で、橘さんは楽しく生きるためには「金融資産」「人的資本」「社会資本」の3つの資本が必要なんだよと仰られています。
金融資産は、文字通りで自分が持っているお金の事です。
経済的に自立できれば、お金のために何かをしなくてはいけない状況から解放されるという事で、金融資産は自由への土台になるという事でした。
よくお金が溜まってくると働く時のメンタルも安定してくるという話は聞きますし、これは何となくイメージつきますよね。
金融資産だけでなく、人的資本と社会資本も大事
ただ、これだけだと楽しく生活するには不十分で、これに加えて人的資本と社会資本の2つが必要だそうです。
人的資本は何かというと、自分の技能や能力といった働いてお金を稼ぐ能力の事で、社会資本は家族や友人との繋がりの事ですね。
金融資本、人的資本、社会資本、この3つを全て持つ事が理想なんですが、なかなか全て揃えるのは難しいと仰られています。
本書の中であった分かりやすい例を挙げると次の通りです。
- 田舎のマイルドヤンキー
家族や昔からの友人との繋がりが強くて、そうした社会資本は充実しているけど、それ以外の金融資産や人的資本は持っていない場合が多い - 馴染みの無い土地で暮らす高収入のサラリーマン
金融資産や人的資本はあるけど、人との繋がりは少なくて社会資本は持っていない - 仕事一辺倒だった典型的なお金持ち
金融資産、人的資本はあるけど社会資本を犠牲にしている
こんな感じで、3つともバランス良く持っている人は少ないというイメージですね。
多分、世の中にはこれらを両立させているスーパー会社員もいるとは思いますが、なかなか少ないと思います。
通常のFIREは人的資本と社会資本を喪失する恐れ
個人的に通常のFIREで懸念しているのが、人的資本と社会資本を極端に無くしてしまうんじゃないかという事です。
例えば人的資本については、それまで本業をメインに稼いでハイペースで資産形成をしていた人は、それが一気に無くなってしまいます。
特にFIREを目指すような物好きな人の中には、出世や転職などで収入を上げてガツガツ稼いでガンガン貯蓄や投資に回している人も多いと思うので、そうなると尚更収入が無くなると不安になっちゃいますよね。
それと社会資本については、もし資産収入だけに頼ってカツカツの生活を送る前提の場合、支出を抑えるために極端に人に会わなくなる生活を選ぶ人も出てくると思います。
こうなると、資産収入に依存する通常のFIREのスタイルは、お金と時間に余裕はありますけど、それ以外の面で不安が残る印象がありますよね。
これに対して、サイドFIREの様に資産収入に依存せずに、不足分は給料や個人事業の収入で賄う事を選んだ場合は、若干金銭面では不安が残りますが、仕事を通じて稼ぐ事で人的資本も維持できますし、人との繋がりも増えて社会資本も満たされます。
なんなら、サイドFIREで好きな仕事に集中して取り組んだ場合、会社員で働いていた時間を全て自分がやりたい仕事に充てられるので、むしろ人的資本や社会資本は高まっていく事も期待できると思いますね。
これについては、以前に現在FIRE生活をしながら不定期で働かれているmさんとお話しした際に、mさんが「会社員時代はあまり感謝の言葉が掛けられなかったけど、いま不定期で入っている仕事では感謝の言葉も掛けられるので楽しく働けている」という事を仰られていたのが印象的で頭に残っています。
元々働いていた環境にもよると思うんですが、今の仕事が辛くてもFIRE後に楽しく働ける職場を見つける事で、色んな欲求が満たされて楽しく過ごせるのかなぁと思いましたね。
以上が理由の2つ目、人的資本と社会資本が衰えないについてです。
まとめ
お知らせ
まとめの前に一つお知らせです。
FIREに役立つと思った本やサービスをブログの方で一覧でご紹介しています。
これからFIREや資産形成に本格的に取り組む人の役に立つものが揃っていると思いますので、参考にして頂けたら嬉しいです。
今回の内容
まとめです!今回は「【失敗しない】日本人に最適な”ゆるい”FIRE・セミリタイアのスタイルとは」をテーマにお届けしました。
せっかく仕事を辞めたのに働きたくないよ!という方もいるかもしれませんが、適度に働くと生活にもメリハリが出ますし、興味のある仕事やハマれる仕事を見つけられたら仕事が道楽化して楽しく働ける様になります。
趣味みたいに楽しくできる事で稼げたら、それに越した事はないですよね。
ですので、ぜひ完全FIREにこだわらずに、メリットもたくさんあるのでサイドFIREも検討してみて下さい。
今回は以上になります。
最後までお付き合い頂きありがとうございました!