お金があればFIRE/セミリタイアできるのか
という事で、今回はお金があってもFIRE/セミリタイアできない、One More Year Syndromeとは何か、対処法はあるのか解説していきます。
この記事で分かる事
・One More Year Syndrome/もう1年症候群とは何か
・もう1年症候群になってしまった時の克服法
One More、こちらは山崎まさよしさんの「 One more time One more chance 」
新海誠さんが監督をされている秒速5センチメートル というアニメ映画の主題歌にもなっています。色褪せない名曲ですよね。奇跡が起こればいいし、後悔せず生きていきたいと思う事もあります。
One More Year Syndromeとは?
冒頭でもご紹介した通り、One More Year Syndromeは通称”もう一年症候群”とか”あと1年症候群”とか、そういう風に呼ばれています。
こちらの病気は厄介な事に、FIREの目標金額が貯まった人や、もうすぐ貯まりそうな人など、FIRE間近になって発症する病だという事です。
簡単な症状としたら、自分の中で、
「もっとお金を貯めた方が安全にリタイア生活を送れるんじゃないか」
「もっとお金を貯めた方が贅沢な暮らしができるんじゃないか」
とかこういう不安が襲ってきて、結果ずるずると今の仕事を続けてしまい、いつまで経ってもFIREができなくなる感じです。恐ろしい病ですね。
これを聞いて皆さんどのように感じられますでしょうか?
「自分は仕事を辞められるよ!」
「自分には関係ない!」
こう思われる方もいらっしゃると思いますが、海外での金融系情報発信者の方でも、One More Year Syndromeについて言及されており、誰もが通る道なのではないかなと思います。
私自身も今年中に資産5,000万円、いよいよサイドFIREをするぞと決めてから、やっぱりもう1年働いた方がいいかなと不安になっています…(笑)
私と同じようにOne More Year Syndromeに陥る可能性のある方へ、以下克服法がありますので、今のうちから備えておいて損はないかと思います。
3つの克服法
それではOne More Year Syndrome の克服方法について書いていきます。
今回、克服方法として参考にさせて頂いたのが、日本のFIRE第一人者である「三菱サラリーマン」こと「穂高唯希」さんがブログでご紹介をされていたこちらの3つの考え方です。
①時間の有限性、希少性を考える
②金銭的な欲求にはキリがないと自覚する
③「FIRE=給料が純減」とはならない
穂高さんといえば、30歳の時に7000万円の資産を貯めてFIREを達成された日本FIREの第一任者の方なんですが、そんな穂高さんを持ってしても、このOne More Year Syndromeの症状に悩まされていたようです。
これは非常に意外で、穂高さんは頭のいい方なので、全て計算して思った通りにFIRE計画を進行していたのかと思っていたのですが、そんな穂高さんでも自分と同じような不安を抱いていたという事で衝撃を受けました。
そのブログの中で紹介されていた克服方法や考え方が、自分にとって納得のいくものだったので今回紹介させていただきます。
①時間の有限性、希少性を考える
まず一つ目が「時間の有限性、希少性を考える」という事です。
「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか?
出典:厚労省 平均寿命と健康寿命と推移より https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html
こちらが何かと言うと、いわゆる平均寿命と呼ばれる一般的な寿命ではなく、人間が介護などを必要とせず、自分の力で 健康的に日常生活が送れる年齢の事です。
この平均寿命は、男性が72歳で女性が74歳、大体、平均寿命よりも10年ぐらい健康寿命の方が短いんですね。
この健康寿命の年齢を聞いてみていかがですかね。
私の個人的な感覚では、意外と短いですし、結構もう近付いているなぁという感覚を受けました。
これについては、穂高さんも同じように感じていたらしく、セミリタイアした当時の穂高さんの年齢は30歳だったので、健康寿命で考えたら既に人生の4割が終了していると思って少し焦ったようです。
漠然と日常生活を過ごしていると、普段からそういう寿命の事は意識しづらいところではあるんですが、寿命は誰にでも訪れる事は紛れもない事実だから、しっかりと向き合う必要があると思ったという事でした。改めて、時間の重要性を再確認した形ですね。
それで、穂高さんが30歳7,000万円でFIREをした時の心境についても書かれていたのですが、あの穂高さんでもFIREをする前に
「あと3年ぐらい働けば、恐らく今のペースで1億円は貯まるだろうけど、果たしてそれでいいのか?」
という思いがあったという事でした。
その時すでに目標にしていた受取配当金が生活支出を上回る状態はキープできていたそうなのですが、それでもやはり資産が枯渇しないか不安で、キリがいい数字という事もあり1億円を目指して「あと3年ほど働いた方がいいんじゃないか」と悩まれていたようです。
ただ、それを考える中で、
「若くて体力もある今の3年という時間を犠牲にしても3,000万円を貯めるのか」
「それとも、今7,000万円でセミリタイアするのか」
そこを天秤にかけて考え、その結果やはり若い時の時間は何にも代えがたいというところで、時間を優先して7,000万円の資産でセミリタイアをされたということでした。
これは本当にFIRE直前の方のリアルな悩みだなと思いましたし、One More Year Syndromeの対策として、この若い時の時間の有限性や希少性について考えるのはすごく有効だと思いました。
②金銭的な欲求にはキリがないと自覚する
2つ目の対策が、「金銭的な欲求にはキリがないと自覚する」という事です。
これはつまり、人間の欲望にはキリがなくて、いくらお金を貯めても足りないように感じてしまうというものです。
例えば、当初は5,000万円で目標を掲げていたのに、いざ5,000万円が貯まると「もうちょっと頑張って1億円貯めよう」と考えるようになったり、1億円貯まった時には「1億円じゃなく、2億円ぐらい貯めて贅沢な生活がしたい」と考えるようになったりするという事です。
特に会社員の場合だと、「あと何年働けばその金額に到達するから、そこまで頑張ろう」など、そういった計算をしてしまう人が多いようです。
これは会社員特有の考え方だそうなのですが、なぜかというと会社員は毎月給料が決まったタイミングで払われるため、給料という安定収入がある事で資産形成の計算が立てやすいからという事でした。
歩合給ではない会社員の場合、毎年の昇給金額などもイメージしやすく、将来の自分の収入見込みが立てやすいため、「あと何年働いたら資産がいくらになる」という計算が出来てしまうという点が、会社員がOne More Year Syndromeに陥ってしまう理由だそうです。
それと、穂高さんが記事の中で一つ面白い言葉を書かれていて、それが”給料は麻薬”という言葉なんですが、これはどういう事かというと「会社員は毎月決まった日に給料という報酬が発生して、しかも多くの日系企業の場合その金額ってのが年々上がっていくので、どんどん給料の価値が大きくなっていって、失う事が怖くなっていく」という事です。
多くの日系企業の場合、年功序列で給料が上がっていくシステムを採用しているので、「会社員は年を重ねるにつれて、仕事を辞めるのがどんどん難しくなっていくんじゃないか」というのが、穂高さんの見解でした。
これは非常に共感する考えでしたね。
穂高さんに関しても、周囲に「仕事を辞める」と伝えた時、「今辞めるのはもったいない」とか、「そんないい会社で働いてるのにもったいない」とか色々言われたという事でした。
やはり、いくら鋼の意志を持っている穂高さんと言えど、そういう風に周りから色々言われたら「確かに今の待遇を捨てるのはもったいないかも…」と感じた時もあったようです。
そんな感じで、やはり会社員というのは上手くできていて、長く働けば働くほど給料も多くなって、どんどん辞めにくくなって、結局定年まで働いてしまうというのが、恐らく多くの会社員にとってあるあるなんだなーと思いました。
ただ、穂高さんはこういう不安に悩まされながらも、思い切って退職してセミリタイア生活を開始されたのですが、セミリタイア生活をされている今は、当時の選択について全く後悔をしていないという事でした。
やはり、時間は二度と戻ってこないというところもあるので、セミリタイアして自分の興味のある事に精力的にチャレンジできている今の方が、会社員時代よりもすごく楽しいし充実していると仰っていました。
ですので、もう少しのお金を貯めるために時間を犠牲にするんじゃなくて、思い切って踏み出してみて良かったと感じておられるようでした。
こんな感じで、金銭的な欲求にはキリがない事を自覚して、一歩踏み出す勇気を持つという事が非常に大事だと思いました。
③「FIRE=給料が純減」とはならない
3つ目が「FIRE=給料が純減とはならない」ことを自覚をするという事です。
これはどういう事かと言うと、確かにFIREをすると会社員としての給料は無くなるんですが、同時に他の収入ができる可能性もある、ということでした。
会社を辞めると、当然ですが会社員として使っていた時間が浮くんですよね。
例えば、会社員の場合は出勤時間も考えると朝7時から夜7時とか、それぐらいの時間を会社に拘束されてしまいます。
そうすると、1日の半分の12時間を会社に費やしていることになります。
1日12時間を平日5日間続けたとすると、週に60時間は会社に捧げている事になります。
もし仮に、その時間を使って何か社会に対して価値を提供する事ができれば、それが自分の信用に繋がり、その結果なにか経済的な報酬を得られる可能性もあるという事でした。
これは確かにその通りだと強く共感しました。
FIREをした方の事例を見ていると、達成された方の多くがリタイア後も何らかの副収入を得ている印象がありました。
例えば、本を出版されたり、ブログでFIRE生活について書かれたり、YouTubeで配信をされたり、後はアルバイトとして軽く働いていたり、そういう感じで何か趣味レベルで副収入を得ている人も多いなと思います。
穂高さんの例を見ても、退職後に興味のあった農作業の手伝いや、冬になったら除雪オペレーターという仕事もされていて、そういう活動からお金を得られているとの事でした。
特に現代だと副収入を得る方法が多様化していますし、色々な手段でリタイア後も収入を得ることが出来るため、単純に会社員の給料が無くなった分が全部マイナスになる事はないんじゃないかと思いました。
それと、これは個人的な感覚なんですが、リタイアした後にダラダラと生活をしているよりも、適度に何かに打ち込んだり興味のある仕事をしたりする事は健康にも良いですし、生きがいにも繋がると思っています。
もし、今の会社員としての給料がなくなってしまう事に対して不安を感じている方がいらっしゃいましたら、その会社員として働いていた時間を何か他の事に当てることで、給料以外の収入が得られる可能性があるという事も覚えておくと、一歩踏み出す勇気に繋がるかもしれないですね!
以上が3つ目の、「FIRE=給料が純減とはならない」ことを自覚するについてです。
まとめ
今回は、「いくらお金があってもリタイアできない理由とその対策」という事で、私自身も感じたOne More Year Syndromeについて書かせていただきました。
「自分はちゃんと考えているし大丈夫!」と思ってる方も、いつか自分もそういう風に感じる場面が来るかも、と思っておいていただけたらと思います。
今回の内容はこちらのYouTubeでも発信しています。良ければこちらの方も見ていただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!